水道を凍結 させない唯一の方法 とは パート②
今回は、水道を凍結させないためにした方がいいことについての記事の、第三段目になります。
北海道に住んでいる以上、冬の寒い期間の水道凍結トラブルのリスクは、毎年必ずやってきますので、避ける事はできません。
現在は江別市・札幌市近郊を活動エリアとしている私が、【今まで一度も水落としをしたことがない】【水落としのやり方なんてわからない】とおっしゃるお客様とお会いする機会があまりにも多かったのを危惧して、このブログを通して水落としという作業の意味と重要性を皆さんにお伝えすべく、書き始めたのがこのシリーズ記事のきっかけです。
一応、続きもののような流れになっていますので、前々回と前回をまだご覧になっていない方は、辿ってから戻って来て頂けると理解しやすいのではないかと思います。
リンクを貼っておきます ↓
前々回(第一段)
【これをしないと 水道が凍結する ?!忘れずに閉めましょう!】
前回(第二段)
そして今回が水道凍結を回避するための最終話として書いていきます。
内容が沢山ありますからね、当然、今回も長くなります!
皆さんには、このあとの内容を理解して頂いて、ご自分の生活する家に当てはめてみて頂いて、実際にご自分で水落とし作業をやってみて頂いて、今後は、最低でも、ご自分が生活する家だけはご自分で水を落として水道凍結させないようになって頂きたい!というのがこのシリーズの主な目的であります。
これを書いて世に発表することでお金が頂けるわけでもなく、自身の仕事が減るかも知れないのに、何故私が、このような内容を世間に発表しようとしているのかについては、前回の記事にしつこいくらいに書いたので、もういいでしょう…
寒冷地出身ではない私が、北海道に移住してきて、業務上必要となって勉強して覚えた【寒冷地特有の水道・凍結・水落としの知識】をこれから説明していきます。
まったく予備知識のない人に向けて説明をする時のことを想定して、嚙み砕いて書いていきますので、長くなります。
ある程度の知識をお持ちの方には、退屈な内容も含まれるかも知れません。そのあたりは各々で流したり飛ばしたりの判断をして頂いて構わないです。
皆さんに全部をしっかり読んで頂くことが目的なのではなく、皆さんがご自身でご自宅の水落としをできるようになって頂くのが真の目的です。
流し読みした結果、よくわからなかった…というのは本末転倒ですからね。
何回でも目を通して、最終的に理解して実践できるようになる!ここがゴールです。
では、始めます。
水落としは2種類ある
水落としをしておけば建物内の水道が凍結することは絶対にない!ということは前回までの記事でご説明しました。
建物内の水道の水落としの仕方を知らない方が多く、毎年寒波が来る度に沢山の方が水道凍結被害に遭われてしまっている一方で、【戸建住宅の屋外にある散水栓】に限って言えば、非常に多くの方が水落としを実践されていて、凍結被害に遭う方も少ないのが現状です。
屋外の散水栓の水落としは多くの方ができていて、建物内の水落としはできていない・していない、というのは何故なのでしょうか?
屋外散水栓は構造も単純で簡単に水落としができるのに対し、建物内は配管が複雑に枝分かれしているので水落としのやり方も単純ではなく、説明書もなく、どれを回していいのか・悪いのかわからず、暖房をつけていれば凍らないと思うし、面倒になってしまって…といった所なのでしょうか。
構造が単純であっても、複雑であっても、私がこれから説明をする、水道のこと、水のこと、水抜栓のこと、その仕組みが理解できた時、毎日生活しているご自分の家の水道について、見え方が変わるでしょうし、水落としを完璧にできるようになりますので、そこは安心してこの先を読み進めてくださいね。
前々回も前回も、住宅を中心に、特に戸建住宅をメインに書いてきましたが、今回もそうなります。
ですが、アパートやマンション、店舗やビルといった建物でも、考え方や仕組みは同じです。違うのは構造だけです。
アパートやマンションにお住まいの方向けに、今回は建物や構造の違いの説明も入れますのでご安心を。
私が水落としには2種類あると書いたのは、単純か複雑か、そのことについてではありません。
シチュエーションについてのお話を初めにしておきたいのです。
水落としをする際には、次の2つのどちらかのシチュエーションのはずです。
・長期間使用する必要がない時 (長期間、落としっぱなし)
(例)屋外の散水栓・屋外公衆トイレや公園の水道など・冬前に空きになった物件・突然の入院や帰省などで2日以上留守にする…など
・日々の生活の中で凍結予防をする時 (毎日使うけど、使わない時間の方が長い)
(例)夜寝る前に水を落とす・日中誰もいなくなるので水を落とす…など
今回の記事で、私が説明をしていく内容は、2つのシチュエーションの後者の方、【日々の生活の中で凍結予防をする】のに必要な水落としの仕方についてです。
このシチュエーションでは、毎日、24時間の内、誰かしらが家にいる時間が一定時間あって、どの水まわり設備(台所・洗面・洗濯・風呂・トイレ)も1日の間に1回以上は使用されるでしょうし、暖房も使用して屋内はそれなりの温度にされていることでしょうから、滅多に屋内の配管が凍結することはないでしょう。
実際に留守にしていたわけでもないのに、突然水やお湯が出なくなった!というお客様のお宅に修理に伺うと、屋内の、目で見えている部分のパイプは凍っていないケースがほとんどです。
部屋を暖かくしていたのに、どこが凍ってしまうのかというと、お部屋の中ではなく、床下や天井裏、壁の中といった、暖房の温かさが直接届かない場所に配管されているパイプが凍ってしまうからなのです。
そういった場所は、どの建物にも存在します。
水落としというのは、そういった場所にある配管を凍らせないために行う作業だと言ってもいいくらいです。
その隠れた場所の配管の水さえ落としさえすれば、部屋を暖かくして生活している限りは凍結トラブル知らずになれます。
一方、【長期間使用する必要がない】シチュエーションでは、生活空間の暖房もなくなりますので、生活の中での水落としよりも、より完璧な水落としが必要で、隠れていない部分も含めて全ての配管の中身を完全に空っぽにする必要がありますので、こちらの方が難易度が高いです。
ある程度の工具も必要になりますし、配管の一部を取り外したりする必要も出てきますので、ご自分の手で全てを完璧に水落としするというのは(人それぞれスキルも違いますので一概には言えませんが)難しいかも知れませんので、長期間留守にするような予定ができた際には、私たちの様な水まわりのプロに水落とし作業をご依頼頂いて、しっかりと水落としをして出発された方が、帰って来られた時に安心かと思います。
水はどこから来る?
さて、皆さんの住むご家庭には、水道が来ていて、蛇口を開けば透明で衛生的な水が勢いよく出てきていると思います。
その水道水は、どのようにしてご家庭に届いているか、考えたことはありますでしょうか?
地域によって違いはありますが、一般的には、川や湖から水を取ってきて(取水施設)、(浄水施設)でろ過を何度もして、殺菌のために塩素を混ぜて、強力なポンプを使って担当のエリア中に安全な水道水を送り出しています(送水施設)。
ポンプで送られた水道水は、道路の地下に埋められた太い水道管を通って、建物がある度に枝分かれして各建物に一本ずつ届けられます。
過去の記事でもこの絵で説明しましたが、道路の下から枝分かれしたパイプを通って敷地内に入ってきた水道水は、敷地の中に設けられたメーターボックスを一度経由します。
メーターボックスの中には、水道の水がどれくらい使用されたのかを計測する装置(水道メーター)が入っていて、装置を通過した水の量に応じて水道使用量金が計算されるというわけですね。
二世帯住宅で、世帯ごとに支払いを分けているような建物では、メーターボックスが2つあることもありますし、アパートやマンションであれば部屋の数(戸数)分だけ水道メーターが並んでいたりします。
屋外のメーターボックスまでは、ずっと土の下に埋められたパイプの中を水道水は通って来ていますね?
土の中の温度は、空気中の温度よりも暖かく、凍りにくいため、寒冷地では水道のパイプを地面から一定の深さ以上深く埋設します。(凍結深度 トウケツシンドと言います) ※地域によって深さの基準が異なります
水道メーターを通ったら、いよいよ皆さんのご家庭で使用する水道水というわけです。
戸建住宅であれば、メーターボックスからすぐに枝分かれして屋外散水栓につながったり、建物の基礎を貫通してトイレや他の水まわりのある場所までできるだけ凍りにくい土の下で配管して、いよいよ水が必要な場所まで来たら、上方向に立ち上がって屋内に入ってきます。
なので、戸建住宅の屋外水栓も、一階にあるトイレも、ボイラーや電気温水器などの給湯設備周辺の配管も、元を辿れば床の下の土の中の水道管から立ち上がってきているというわけです。
ここまでは、把握できましたでしょうか。
この章の大事な点は、
・水道管は凍らないように土の下深くに埋められている
⇔ 逆に言えば、土深くに埋まっていない部分の水道管は簡単に凍ってしまう
→ 凍結トラブルが起きるとすれば、土中から立ち上がって以降の配管のどこか
ということですね。
いつ水落としをすればいいか
凍結、凍結言ってるけど、いったい何℃になったら水は凍るのさ、というお話に移りますね。
【氷点下】という言葉がありますよね。
辞典はもうかれこれ何年も使っていないので、このままパソコンで調べてみますと…
【氷点下は、氷点よりも低い温度である。 常圧での水の融点は 273.152519 K、すなわち 0.002519 °C であり、この温度以下を零下とも呼ぶ。実用上は0 °Cをもって融点とし、「マイナス」を「氷点下」に置き換えて、例えば「−10 °C」を「氷点下10度」のように言う。】
うーん、ケタがたくさんの数字が出てくると臆してしまいますね…調べた結果さらにわからないことが増えてしまいましたが… 私、化学や物理的な事は得意とは言えないので、数字とか単位とかは深堀りはしないでおきますね。
要するに、氷が解け始める温度(融点)と、水が凍り始める温度(氷点)が0℃であるということで、0℃以下のマイナス温度を氷点下〇〇℃としているということですから… マイナス気温になったら水は凍りはじめると言っていいでしょうか。
しかし、気温が0℃を下回ってマイナスになった瞬間に、池や川の水が一瞬で凍り付くわけではありませんね。
実際には、水道局やテレビなどで注意喚起される情報では、気温が-4℃を下回るようになったら水を落としましょうと言われています。
これはですね、外気温が0℃だったとしても、建物に囲まれた床下部分や天井裏部分は0℃よりも温度は上にあるはずですから、まだ凍りはしませんよー、外気温が-4℃位まで冷え込むと、そういった建物内の生活空間以外の配管部分が氷点下に到達して氷結しはじめますよーという事なんだと思います、私個人の感想です。
なので、冬の時期は毎日天気予報をチェック(テレビの場合は、全国放送の天気予報ではなく、北海道の放送局の天気予報やdボタンを押して、ご自分のお住まいのエリアの詳しい天気情報を確認しましょう)して、-4℃以下になる時間帯は水を落としておくようにする必要があるということですね!
いやいやいやいや、そんなこと言ったら…
なんかもう… ずーっとじゃないのさ! って思いますよね…
そうですね、私の活動エリアである江別市や札幌市近郊では、最低気温だけでなく、最高気温ですら-4℃以下になるような日、昼も夜もずっと-10℃くらいといったような日も、それが何日も続く、なんてことは毎年のように起きていますもんね。
しかしですね、そういった土地に家を構えて生活をしているわけですから、気温に気を配りながら、自身に降りかかるリスクに対処しながら生活をする必要があるということではありませんか?
本気で水道を一回も凍結させないようにしつつ、なおかつ毎日の生活の中で必要な水道を毎日使用し続けるためには、-4℃以下の時間帯は常に水を落とした状態にし、水を使用したい時のみ通水して水を使用し、水を使用し終わってしばらく使用しないのであれば再度水を落とす、ということが求められます。
私も、私たちにご依頼くださる皆さんも、強烈な寒波が来れば一気に-20℃とかまでなってしまうような場所で日々生活している以上はですね、自然のなすがままされるがままに生活をするのか、知恵と工夫で家や生活をトラブルから守りながら生活するのか、の選択なんです。
ボタン一つで、あとは何もしなくても建物内の全ての水が一気に落ちるような画期的なシステムが発明されて・普及して、新築でない既存の住宅でもあとから簡単に導入できるという所まで技術が発明されて一般に普及しない限りは、寒冷地で生活をしている私たちは楽をすることはできないのです。
幸い、今の世は、寒冷地に建っている建物で、水道が通っている建物には全て、初めから水を落とすための装置である水抜栓(ミズヌキセンと読みます)が標準装備されていますので、水抜栓だけでなく他にも色々な部分をご自分で操作する必要はあるとは言え、理論上は全ての世帯で水落としを実施することは可能な世の中にはなっているのです。
水抜栓が付いている家と付いていない家が混在してしまっている!という世の中なのであれば、私もここまで熱を持って記事を書こうと思わなかったでしょう。
寒冷地にあって、水道が通った建物で生活されている皆さんの家には、水を落とすための装備が初めから存在しているのに、それをきちんと扱えていない方やその存在を知らない方がまだまだ沢山いて、毎年トラブルに遭われる方がいて、繁忙期だからという理由で吊り上げている他社のびっくりするような金額の修理代を、渋々ながらなのか、それが相場と納得してなのか、支払っている方が沢山いて、そういう諸々全ては水落としをすれば回避することができるのにー!!とアチチになっての、このシリーズ記事なわけです…
また脱線してますね、戻します。
ここまでの内容で尻込みしてしまう方もいらっしゃるでしょうけれども、大丈夫です!そのために書いているのですからね。
毎日とか、時間帯によって水落としを行うのも、実際にご自分で行われている方もいらっしゃいますからね。
実際に覚えて、何回かやっているうちにコツがわかってきて、効率よくできるようになって… という所まで到達すれば、料理や洗濯よりも短時間で終わる楽な作業です。
やった事がない事、詳しく知らない事、触った事がない物は、腰が引けてしまったり、一歩が踏み出せなかったりするものですが、方法がわかって実際にやってみてコツがわかれば、な~んて事ないじゃん!となるものです。
私がお客様から水落とし作業代行の依頼を頂いた場合、お客様宅に到着してから建物内の水とお湯の配置を確認させて頂いたり作業や料金の説明をする時間を除外すると、水落とし作業開始から全て水落とし終わるまでの作業時間だけの実質は、10~20分くらいです。
実際には最終確認や作業後の掃除や、お客様への説明など、他にも行う事はありますから、お客様宅での滞在時間はもっと長いですけれども、皆さんが水落としを覚えて作業を行うのは、勝手知ったるご自分の家で作業をするわけですから、同じ建物で何回か水落とし作業を行えば、効率のいいやり方・順番・身の動かし方がわかってきて、初めは確認しながらになって時間がかかると思いますが、数をこなせば時間も短縮されます。
なので、冬になってから覚える、では間に合わないんです。冬が来るまでにマスターする必要があるので、春・夏・秋の内に練習する必要があり、北海道の春と秋は短いです。
前の記事でも書きましたが、私は寒冷地出身ではありませんので、私だって移住してくる前までは『水抜栓ってなんですか?』の状態でした。
それでも一般地での水道の知識はありましたので、数日の勉強と、実際に触ってみて作業してみて身について、すぐにお客様宅の水落としをできるようになりました。
むしろ、何かを修理するためには、その前に水落としをしてからでなければ修理が開始できないという状況が多いので、覚えざる得ない内容だったのですが…
移住してきて9年経ってもなお、今でも日々勉強ではありますが、それは色々な建物を相手にする仕事に就いているだからのことであって、私と違って皆さんは、ご自分の生活されるご自宅1軒だけを見て、構造を理解して、実際に水落としをしてみて、やり方を覚えて、効率化させていけばいいだけなのですから、絶対できます!
この章をまとめます。
・冬は、毎日天気予報をチェックして、-4℃を下回るか下回らないかを気にしましょう
→ -4℃を下回ってから水落としをするのではなく、凍結を予防するために水を落とすのであれば、-4℃以下になるという予報の上であらかじめ水を落としておくという考え方が大事です。
・難しそうとか面倒そうとかは、一旦置いておきましょう、ね?
→ 知らないことを覚えたり、今までしてこなかったことをしようとしているわけですから、面倒で当たり前です。わからないからといって離脱しないで、飛ばしてでも目を通して、わかるところを探して、わからなかった部分は、あとで読み返してみるというのもいいかも知れません。むしろ、水落としの具体的なお話はまだこれからですし…
水の性質
ここでは簡単に、【水】のもつ性質について触れておきます。
当たり前のことだらけですが、水落としや水道凍結、水道管破裂について考えるのに必要な前提・ルールみたいなものなので、さらっと書きますので、一つ一つ確認しておいて下さい。
・氷点下になったとたんに、一瞬で全てが凍ってしまうわけではない
→ 池の水面に少しずつ氷が張る時のように、水は徐々に徐々に結晶化して集まって固まっていきます。
・水は凍ると体積が増える
→ 水が水でいる時よりも、氷になった時の方が分子間の隙間が大きくなるので、約10%かさが増えます。
・密閉された空間にある水が凍結すると、その入れ物が破裂することがある
→ 水落とししていない状態で凍結が進むと、蛇口や水道管が破裂してしまうのはこれですね。
・ 水は高い所から低い所へ流れる
→ 水は自力で重力に逆らって動くことはできません。
はい、これらの事を頭に置いて頂いて、先に進みますね。
水の落ち方
水道の水落としをする上で、大事な事なので、まだまだ事前説明は続きます。
水が実際にどのように落ちていくのかについて、考えてみましょう。
例えば、コップに水を入れて、上に持ち上げ、そのままコップを180度、上下に反転させると、どうなるか・・・ (もう、当たり前のことなので絵や写真は用意しません)
コップの中の水が一気に下に落ちてしまいます。
大丈夫ですね?
さて、次の確認です。
こういった遊び、小さい時にしたことありませんか?
左から右への流れです。 はい、パソコンのペイントソフトで数分かけて手作りした下手な絵です。
綺麗な絵を提供することが目的ではないので、いいんです、イメージが伝わればそれで…
コップに入ったジュースをストローで飲んでいる時に、
ストローを口にくわえてジュースを吸って、ストローがジュースで満たされた時に、舌でストローの上の部分を塞ぎます。
舌でストローを塞いだまま、ストローをコップから持ち上げて…
『見てー! 垂れなーい!』 というようなことをやって、レストランで親に怒られた経験が私にはあります。
そのまま、舌がストローに付いている間は、ストローの中のジュースは落ちませんが、
舌をストローから離したとたんに、ストローの中のジュースは落ちていきます。
はい、これです。水道の水落としを考える時に重要な現象なので、忘れないでください。
もし、やった事がないという人は、試しにやってみて下さい。
家にストローがなければ、ハンバーガー屋さんとかフライドチキン屋さんで冷たい飲み物を買った時にでも、思い出して、やってみて下さい。
自分の足や床や、他人に迷惑かけてしまわないように気を付けて、怒られます!
では、実例で考えていきましょう。
多くの方が水落としを実践されている、屋外の散水栓の付いた立ち上がり管(左側)と水抜栓(右側)の写真です。
築年数が新しい建物では、
立ち上がり管と水抜栓とが一本化されたもの(水栓柱《スイセンチュウ》などと呼ばれます)や、手持ちの写真がありませんでしたが、普段は土の中に埋設されていて引っぱり出して使うようなタイプの散水栓が設置されている事がありますが、仕組みは同じです。
まずは通水状態の説明から。絵の縮尺はおかしいです、はい。
水抜栓が開いている時、地中の埋設された給水管から水抜栓に水道の水が入ってきています。
そのまま水抜栓内部を通過して、水は立ち上がり管へと向かい、地上の水栓内部まで水が強い水圧で来ています。
上の絵では水栓のハンドルを閉めた状態にしていますので、水栓からは水は出ていませんが、水栓を開けば、勢いよく水が出てくる状態です。
続いて、上の状態から、水抜栓だけを閉めて水抜状態にした絵です。
水抜栓を閉めると、水抜栓の内部の部品が動いて、地中の埋設給水管からの入口にフタをされる状態となります。
さらに、この状態では、水抜栓内部の水の通路が切り替えられて、立ち上がり管から先の水が水抜栓本体へと逆流して落ちてきて、その水を土の中に放出するための出口である排水口へのルートがつながります。
ですが、まだ、立ち上がり管の水は落ちません。
上の絵でも、排水口から水は放出されておらず、立ち上がり管や蛇口の内部は水落としできていない状態で水が残っています。
なぜ立ち上がり管の内部と水栓の内部にはまだ水が残ったままで、落ちないかというと、水栓のハンドルがまだ閉まったままの状態だからです。
この状態は、上のストローの例で例えると、見てー!垂れなーい!の段階です。
ストローの上の部分が舌で塞がれているので、ストローの下の部分が開放されていても、ジュースは落ちませんでしたね?
この状態で冬を越そうとすれば… 当然、この残っている水は凍結してしまいます。
水抜栓を操作するだけで給水管の中の水が勝手に落ちていくと誤解されている方がたまにいらっしゃいますが、この理屈が理解できれば、水が落ちない理由がわかると思います。
水抜栓だけを閉めても水落としはまだ終わっていない、ここ大事です。
では、どうすればいいか… はい、ストローから舌を離せばいいんですね!
つまり、水栓のハンドルを回して、開いた状態にすればOKです。全開にして下さい。
そうすることによって、立ち上がり管内部と水栓内部に満たされていた水が落ちていき、凍結の可能性のある範囲の水は全て凍結の心配のない土の中に排出されて空っぽの状態になります。
パイプ内の水はゆっくりと落ちていきますので、立ち上がり管の中の水が完全に落ちきるまで少し時間が必要です。
水栓のハンドルを開いたあとは、すぐに閉めるのではなく、開きっぱなしの状態で数分放置するか、そのまま次回通水して使用する前まで開きっぱなしでも構いません。
ここまで行う事で、水落としがしっかりと完了したと言えるのです。
では、なぜストロー内部のジュースや、立ち上がり管の中の水は、落ちなかったり・落ちたりするのでしょうか?
これには、空気が関係しています。
筒状のもの(パイプ)の中に液体が満たされている状態、この状態から水が全て出て行ってパイプの内部がカラっぽになる為には、水が存在した場所がカラにならなければいけません。
【カラになる】という状態は、何もない状態なのですが、厳密にいえば、空気が存在します。
だから【カラ】は空気の【空】という漢字なのでしょうか!? そこはわかりませんが… 脱線しました、戻ります。
つまりですね、水で満たされている部分が空っぽになるためには、水が存在しているスペース全体に空気が入れ替わりで入らなければいけないのです。
これも水落としを語る上で、とっても大事な水の性質なので前の項目のように書いておきます。
・空っぽになるためには、水と空気が入れ替わる必要がある
ストローの下の部分は開放されているからジュースは落ちる事ができる状況にもかかわらず、ストローの上の部分が塞がれていると、ストローの中に空気が入れません。
空気が入ることができないから、ジュースと空気が入れ替わる事ができず、ストロー内部のジュースは落ちることなくストロー内にキープされているわけですね。
上の塞いでいる舌を開放した瞬間、ストローの中に上から空気が入りこんで、それと同時にジュースは落ちて、ストローの中は空っぽの状態になることができます。
逆も同じ理屈です。
ストローを使って液体を飲もうとする時、ストローに口を付けて吸い始めますが、吸った瞬間に口の中に液体が入ってくるわけではなく、ストロー内を満たしていた空気が先にストローの外に出る(初めに口の中にストロー内の空気が入る)ことで、ようやくストローの中に液体が入ってくることができます。
ですから、口に入った空気ごと飲み込みがちなので、ストローで飲み物を飲むとゲップが出やすく…… 脱線ですね。
物理とか理科とか苦手だよー、教科書みたいな説明的な文章は読む気が無くなっちゃうよーという方もいらっしゃるかも知れません。
私も苦手なので、そういった方にもわかりやすいようにと、身近な例えやまわりくどい表現をしているのだと、自覚はあるのですけれども、理屈がわかっている方はさらっと先に進んで下さいね。
あと、屋外散水栓でよく見かけるのですが…
水栓にホースを取り付けていらっしゃる方、多いと思います。
水落とし作業の時に、水栓にホースが取り付けたままの場合、どうなるでしょうか?
水抜栓を閉めて水落としできる状態にして、水栓も開いて、本来であればこれで水は落ちていくはずなのですが…
ホースが水栓につながっていて、そのホースの中にも水が入っていますよね… 一緒に落ちて行くでしょうか?
シャワーやストレートなどを切り替えられるピストルタイプ?ガンタイプ?のヘッドが付いているホースもありますよね。
トリガーを握って、開放したままの状態にしたとして、空気が入っていって水は落ちるのでしょうか?落ちないのでしょうか?
ホースのリールがある場合は、その中でホースはグルグル巻きになっていますから、ホースはケースの中で上がったり下がったりしていますので、まず完全には落ちません。トリガーを開放しても落ちません。
水道の水は、送水施設のポンプによって強烈な水圧がかかって送り出されているので、道路の下の深い場所からお家の中までの高低差でも、水は勢いよく噴き出してきます。
一方、水を落とす時の、落ちていく水は、捨てる水、すなわち【排水】扱いですので、水圧はかかりません。
水は地球の重力の影響を受けますので、上り坂を遡って上がっていくことはできません。
つまり、水落としをする経路の中に、のぼり部分があると、水が上って行けずに、止まってしまい、そこを起点に空気と水の入れ替わりが起きなくなりますので、水落としが止まってしまいます。
屋外の散水栓を水落としする際には、先に、水栓からホース類は外してから、水落とし作業をして頂く必要があります。
厳密には負圧がかかって多少は吸われていきますが、それに頼って不確かな水落としをするくらいならば、ホースは外してから水落としを行う方が確実です。
脱線しますが、ちなみに、外したホースやホースリールの中に残った水も、そのまま屋外に置いておいたら凍結して膨張して、ホースが膨らんだり、プラスチックが割れたりすることもありますので、外したホースの方もしっかりと空っぽにしておいた方がいいですよー。
ホースとホースリールの内部を空っぽにしたい時は、リールの中のホースを全部引っぱり出してできるだけ平らに寝かせて広げて、巻いていけばOKなのですが、その時に高低差を付けるのがポイントです。
リール本体をホースよりも少し高い場所(玄関階段の上など)に置いて、引っぱり出したホースの末端部分やガンタイプのヘッド部分はリール本体よりも低い位置に置いておき、ヘッドのトリガーは開放したままの状態にし、高いところに置いたリール本体を、そのままの場所で、ホースをゆっくり巻いて行けば、リール本体から空気が入って、水は低い方へと流れてホース末端部やトリガー部分から出ていきます。
戻ります、大事な事なのでもう一度書きます。
・水は高い所から低い所へ流れる
・空っぽになる為には、水と空気が入れ替わる必要がある
集合住宅であっても、戸建住宅であって、平屋でも、3階建てでも、店舗でもビルでも、どのような建物であっても、水落としを完璧に行うには、ここまでの仕組みやルールに注意しながら作業を行えばOKなのです。
これから色々なケースを例題として出しますので、一つ一つご自分で考えながら進んでいってください。
全部の絵を先ほどまでのようなクオリティでパソコンで作っていくと、正直大変なので、少し簡略化させて頂きます。
ここまでお話していた屋外の散水栓の絵であれば、
こんな感じに簡略化します。縮尺は無関係なので気にしないでください。
例題①
ではでは、次のような経路があったとしましょう、通水状態です。
【水抜栓から右側にある枝分かれしたパイプ全てと、水栓3つの内部の水を水落としして空っぽにしたい場合】、
どこをどうしたらよいでしょうか?
考えてみて下さい。
すぐに答えを見るのではなく、ご自分でまずは考えてみて下さいね、そのためのお題ですからね。
考えましたか?
よろしいですか?
では、答えです。
①まずは、水抜栓を閉めて水落としできる状態にします。
②その後、順番はどの順でも構いませんので、水栓①、水栓②、水栓③の3つの水栓を3つとも開いて開放して空気を入れてあげれば、水抜栓から右側の経路全てが空っぽになります。
厳密には土の中の一部は残りますが、凍結しない場所の水なので省略します。
どうでしたか、考えた通りでしたでしょうか?
例題②
では、視点を変えて、今のと同じ経路で、
水落とし作業中に、【水栓②だけを開き忘れてしまった場合】は、
どういった結果になるでしょうか?
水はどのように落ちていくでしょうか? それとも落ちないでしょうか?
考えて、自分なりの答えを決めてから進んで下さいね。
よろしいですか?
では、答えです。
水抜栓を閉めて水落としできる状態にして、その後水栓①と水栓③を開放した時、水栓①と水栓③からは空気が入って行きますので、その下の経路は水が落ちていきます。
水栓②をだけ開放しなかったので、水栓②からは空気が入ることができませんので、その下の部分は水が落ちません。
水栓②の下の立ち上がり管(「の部分)と、水栓③へとつながるパイプとのT字路では、水栓③の方から来る空気のおかげで横方向の水は流れていきますが、水栓②への立ち上がり管の中までは空気が下から入って行かないので、T字路に近い部分が少しだけ引っ張られて落ちていくかも知れませんが、水栓②への立ち上がり管の内部と水栓②の内部の水は、ほとんどが落ちずに残ってしまいます。
考え通りでしたしょうか?
ではでは、
例題③
こんな経路があったとします。これまでと同じで、縦方向の断面図として表記しています。
水栓の数は1つですが、水抜栓を出て立ち上がったあと、1回下がって、また上がって、水栓が付いているとします。
水抜栓から右側のパイプ内と、水栓内部を空っぽにしたい場合、
どこをどうすればよいでしょうか?
考えてみて下さい。
ちょっといじわるな質問のしかたになっています。
よろしいでしょうか?
はい、答えですが…
ごめんなさい。 この条件の場合は、水抜栓や水栓をどうこうしても、水は全部落とせません…(このままでは)。
なのに、どうやったら落とせるかを、考えて頂こうとしてあえて意地悪な問いかけをしました。
まず、水抜栓を閉めて水を落とせる状態にして、そのあと水栓を全開にしたとしましょう。
水栓からは空気が入ることができますが、経路の途中にアップダウン(∩の字型)やダウンアップ(∪の字型)がありますよね?
水は重力には逆らえませんから、自力ではパイプ中を登っていくことはできません。
水栓の近くの横になっているパイプの中の水は、水栓の吐水口から出てくることはできますが、恐らくそこ以外のほとんどが落ちることなく残ってしまいます。
こういったアップダウンのある経路は水が落ちない。
ということは… 私たちの住む建物の中には、初めからこういう形にならないように、設計の段階から考えられて配管されているのか?というと…
実は、こういったアップダウンのある経路は、多くの住宅・建物で、普通に存在しています。
こんな感じの配管がされている建物はよく見かけます。(縮尺がおかしいのは目を瞑ってくださいね)
洗面脱衣場の水抜栓から立ち上がって、床下から部屋の中に入ってきたパイプは、壁の中や天井裏を通って隣や離れた部屋の水栓に向かっているケース、よく見かけるというよりは、非常に多いです。
水道パイプの配管は、丸見えの露出状態で壁や天井にパイプを這わせて配管する方法もありますし、この絵のように直接目では見えない場所を利用して極力隠蔽して配管する方法もあります。
隠蔽して配管をするためには、建物の中にまだ壁や天井が出来上がっていない状態で先に配管をし、それを隠す様に、あとから壁や天井を仕上げるという流れになりますので、隠蔽配管が行われるのは、ほとんどが新築工事の時です。
既設の建物をリフォームする際に、隠蔽配管をするとなると、スケルトンリフォームのように、既設の壁や天井を一度壊して取り除き、古い水道配管と同じ経路で配管し直して、再び新しい壁や天井で隠すといった内容になってしまって工事費用が大きくなってしまいます。
費用を抑えてリフォームしたい方は、壁や天井は壊さずに露出配管で室内に新たに配管を施すような工事が主流です。もちろん新築時から露出で配管された建物も存在します。
また、築年数の浅い建物では、
このように床下スペースでポリエチレン素材の樹脂管で配管されている場合もあります。
床下配管されている場合は、∪型や∩型にすることなく配管しやすいので、水落とし作業も手順が少なくて済みます。
さて、例題の解説に戻りますね。
赤い∩や∪の印をつけた所がアップダウン・ダウンアップになってしまっています。
天井裏へ行ったパイプは、水栓がある場所の近くで壁の中を通って降りてきますので、∩型になりますし、洗面台の水栓は、収納の中に入ってきたパイプよりも高い位置にありますから、収納の中で∪型になります。
先ほど答え発表の際に、文末に(このままでは)と付け足したように、この形状の経路の水を全て落とせるようにするためには、まだ絵には描かれていない、今まで説明をしていない、別のしかけが必要になります。
例えば、
∩型になってしまっている配管経路では、パイプの中に空気を取り込むための仕掛けが、高い位置に必要です。
ボイラーなどの給湯設備付近の、天井に抜けていく立ち上がり管の上の方には、写真のような【吸気弁】という部品が設置されている事もあります。(ちょうどいい現場写真がなかったので、取り付け前の物撮り写真です)
吸気弁は、通水時は水道水の水圧に耐えて水が外に噴き出さないようになっており、水抜状態になると自動的に外から配管経路内に空気を取り込む役割をしています。
そして、吸気弁と同じ役割ですが、自動的に空気を取り込んでくれず、空気を取り込むために皆さんが自ら手で操作しなければいけない装置も存在します。
それが、逆さまに取り付けられている水栓です。一般的にはエアーバルブと呼ばれることもありますが、ここではわかりやすいように、逆さ水栓と呼称します。
これも写真がなかったので、加工した写真ですが、このような感じで、逆さまになっている水栓が天井に近い高さの所に存在していたら、空気を取り込むためのもの、で、手動だ、と覚えておいて下さい。
一方、∪型になってしまっている配管経路では、∪の部分に溜まってしまう水を排出するための仕組みが、一番低い位置に必要になります。
キッチンや洗面台の収納の中などにハンドルの付いた水栓が存在していたら、それはその経路の低い位置にあって、上の方の経路の水やお湯をここから捨てる目的のために設置されています。
この水栓はなんでこんな使いづらい所にあるんだろう…という物は、水を捨てるための物です。
あちこち枝分かれした配管の中で、どうしてもダウンアップになってしまう経路には、一番下の位置に水を捨てるためだけに設けられた水栓もあるケースもあります。
これらのような仕組みを施した経路であれば、きちんと空っぽにすることが可能になります。
この経路の場合は、
・水抜栓を閉じて水落としができる状態にして、
・洗面台と浴室の水栓を両方とも開いて全開にし、
・吸気弁が自動的に空気を取り込んでくれるので、洗面台の収納の中で、受け皿を用意しつつ、止水栓部分にある排水口を開くと、壁内のパイプの水がターって出てきます。
・浴室では、水栓の取り付け部分の排水口を開いて、こちらも壁内のパイプの水を捨てます。
・洗面脱衣場の立ち上がり管の上の方に水栓が逆向きになって付いている箇所がある場合は、それは吸気弁と同じ役割の空気取り込み用の水栓ですので、これもハンドルを回して開いて空気を取り込む必要があります。吸気弁は自動ですが、逆さ水栓は手動だと覚えて下さい。
逆さ水栓よりも上の方の配管に水がまだ残っている場合は、逆さ水栓を開いた瞬間に吐水口部分から水が出てきてしまう事もありますので、そうなっても水を受けられるようにバケツやゴミ袋などを逆さ水栓の下に用意してから開けるとびっくりしなくて済みますね。
この経路の場合は、ここまでやって初めてパイプと水栓内部の水が全て空っぽになります。
お疲れさまでした。いかがでしたでしょうか? 頭がこんがらがってしまいましたか?
複雑な経路になると難しく感じるかも知れませんが、基本ルールさえ頭に置いて、こうしたらこうなる…だから…という具合にパズルの様に考えてあげれば正解に辿り着けます。
戸建住宅の例で考えて頂きましたが、アパートやマンションの住宅でも、店舗やビル内のテナントだとしても、この基本ルールは同じです。
・水は高い所から低い所へと流れる
・水が落ちるためには空気と入れ替わる必要がある
・経路内に∪型・∩型がある場合は、その場所に何かしらの仕組みが存在する
実は…
ここまで、あえて私は、冷たい水の経路のお話だけをしてきました。
しかし、ほとんどの皆さんのお家には、ボイラー(給湯器)もしくは電気温水器があって、冷たい水とは別に、温かいお湯も水栓から出ているはずです。
また、例題では便宜上、水栓の数を少なくして考えて頂きましたが、一般的な住宅であれば、キッチン・洗面台・洗濯場・お風呂にそれぞれの水栓(混合水栓または単水栓)があって、トイレ(の止水栓)もあって、屋外水栓もあれば、少なく計算しても6個は水栓が存在するはずなんです。
それらが、皆さんのお家で、どのように配置されているのか、どのようにつながっているのか、その説明をする時が来ました!
複雑そうな内容に感じるかもしれませんが、ここまでの内容が頭に入った段階であれば、混乱は避けられるのではないかと信じています。
皆さんのお家の水とお湯の配管は、どうなっているのかを、一緒にイメージしながら進んでいってくださいね。
例えば、2階建て(水まわりは1階部分のみ)の戸建住宅の
一階部分がこんな間取りの建物があったとしましょう。
(水まわりに関係のない居室や窓、ドアなどは省略しています)
ここからしばらくの絵は横方向の断面図、上から見た図で進みます。
屋外には散水栓が1箇所あって… 玄関を入って、左側にトイレがあって、リビングを抜けて奥へ進むと、キッチン、その横に脱衣所があって、洗面台と洗濯機が並んでいて、その横にボイラーがあって、洗面台の横からお風呂場へと続いていて… お風呂には、浴槽に湯はり用の水栓と、洗い場にはシャワーがついた水栓とがあって… お風呂場・キッチン・洗面台の水栓は、全て、水もお湯も出る混合水栓が設置されている。といった具合です。
一緒に考えてみましょう。
まず、冷たい水が必要な場所・水を出すことが可能な水栓は、どこにあるでしょうか?
屋外散水栓、トイレ、キッチン、洗面台、洗濯場、お風呂の浴槽湯はり用、お風呂の洗い場用、の7カ所ですね。
では次に、それら各水栓のうち、温かいお湯が必要な場所・温かいお湯を出すことが可能な水栓は、どこでしょうか?
キッチン、洗面台、洗濯場、お風呂の浴槽湯はり用、お風呂の洗い場用、の5カ所ですね。
※これはあくまで、この例にて設定した条件での個数ですからね。
水やお湯が出るべき所、水栓のあるべき場所に、水とお湯の位置を印にして、絵に付け加えると…
こうなりました。 水色の丸が冷たい水が出せる場所、赤い丸がお湯を出せる場所です。
一般的には、お湯は左側、水は右側に配置されます。
ここで1つだけ、水色の丸を追加しました。ボイラーです。
ボイラーや電気温水器は、水に熱を加えることでお湯を作り出す機器なので、水道と直結させる必要があります。
(冷たい水の給水管)→(ボイラー)→(お湯の給湯管がスタート)という接続になっていて、水はパイプから直接ボイラー内に入っていっていますので、目に見えて表には水は出てこないのですが、【お湯を使う】=【水道から水を補充する】ということなので、水を使う場所として1つカウントさせてください。
要はですね、これは、建物を建てる際の設計の段階で、水道の配管をどう配置するかを考えるのと近い作業を今、一緒に見て頂いています。
それでは、次に、水抜栓の配置です。緑の丸で記しました。
水抜栓は、戸建住宅の屋内の場合、トイレに1つ・ボイラー近くに1つが一般的です。
さらに、屋外水栓がある場合はそこに1つ。
また、キッチンにも1つ設ける場合もありますし、設けない場合もあります。
これは、間取りや、建物を建てる会社や設計する人の考え方などによって異なりますので、建物によっては1つの水抜栓で全部を枝分かれさせる場合もありますし、増改築などで既存の水抜栓を撤去してまとめたりすることもありますので、あくまで一例です。
水落としをする上で、皆さんのお家には、いくつの水栓・水抜栓があるのかだけは、しっかりと把握する必要があります。
次は、敷地内に入ってきた水道管と水抜栓をつなぐ工程です。
水道のメーターボックスは、今回は便宜上水まわりに近い位置に配置させて頂きましたが、皆さんのお家の敷地の中の屋外のどこかに必ずあります。
水道使用量の検針の人が見に来るのがメーターボックスなので、水道を契約して使用しているのであれば、必ずメーターボックスはあります。
建物に近い場所にある場合もあれば、建物から離れていて敷地の端の方にある場合もあります。
メーターボックスを通った水道管は、まずは各水抜栓を目指して枝分かれさせます。
今回は、水抜栓は4か所なので、散水栓へ向かうルート、トイレへ向かうルート、ボイラー横へ向かうルート、キッチンに向かうルートにそれぞれ枝分けして、水抜栓に接続しました。
メーターボックスの中の水道管も土の中ですし、ここまでは全て土の中での配管です。
江別市では地表から1m30cm以上深い所に埋まっています。
では続いて、各水抜栓と、冷たい水が必要な場所までを、パイプでつないでいきます。
どの青い線が追加されたのかが、わかりづらいと感じたので、既に説明が終わったものの色は、灰色にしておきました。
土の中の水抜栓から立ち上がり管を通って、地上へ、床下から室内には床を貫通して水のパイプが入ってきます。
散水栓とトイレ、キッチンの水の配管は、そのまますぐ近くの水栓もしくは止水栓、タンクなどに接続されるだけです。
ボイラー横の水抜栓の経路だけ、色々と枝分かれさせるのが一般的です。
近い順に、ボイラーに1本、洗濯場に1本、洗面台に1本、お風呂に今回は2本(湯はり用と洗い場用)、ですね。
また、上から見ている図に、天井裏や壁の中の配管ルートを正確に表現することが難しかったので、そういった目では見えない隠蔽配管の部分は点々付きの線で表現をし、便宜上、建物を突き抜けて屋外に出てしまっているように書いていますが、実際はそんなことはしていません。 どのように枝分かれして、どこにつながっているか、に注目してください。
ここまで配管されると、各水栓から冷たい水だけは出せる状態になりました。
しかし、まだお湯の配管をしていませんので、次はお湯のパイプを配管していきましょう。
ここで、ボイラーの上に赤とピンクの丸を付け加えました、ボイラーで作られたお湯が出てくる場所、お湯の配管のスタート地点です。
そこから、お湯を必要としている各水栓に向けて、ピンクの線でお湯の配管を引いていきました。
お湯の配管も、ほとんどが壁の中や天井裏を通して隠蔽配管されたとして、点々付きの線で表現しています。
これで、ようやくお湯も水栓から出るようになって、この建物の全ての配管(排水管は除いて)が完成しました。
水抜栓以降の、水のパイプと、お湯のパイプだけを色付けして表現すると、次のようになります。
水・お湯分けて、順を追って考えていくと、わかりやすいです。
そして、水の落ち方で例題を出したような
この形になっているのは、屋外散水栓と、トイレと、キッチンの水側の、3か所です。
水抜栓+1本の経路のみで、∩型・∪型のようには(基本的には)なっていない経路になっています。
水落としも簡単です。
そして、ボイラー周辺のゴチャゴチャっとなっている経路、これが複雑さを醸し出している所以です。
このゴチャゴチャを、今度は縦方向の断面図で書いてみますね。
洗面や台所キッチンの水栓下の止水栓は省略しましたが、一つにまとめるとこんな感じになります。
キッチンへ向かうお湯の経路は図よりももっと長い距離配管されます(ニョロニョロっと表現した部分)。
複雑に見えるかも知れませんが、皆さんはこれを丸暗記する必要はありません。
何故なら、これはあくまで、とあるお宅での配管の一例であり、これを読んで下さっている皆さんのご自宅の構造と、同じ場合もあれば、全く異なる場合もあるからです。
ここで、皆さんにとって大事なのは、
● 【水抜栓】と【各水まわりの水栓蛇口】において、水とお湯を分けて存在を認識すること
● 水抜栓・各水栓蛇口の他にもある、【逆さ水栓】や【止水栓】などといった操作すべき装置の存在を知ること
● そして、ご自分のお住まいには、何が備わっているのか、何が備わっていないのかを把握しておくこと
です。
水落としをしたのに水道凍結の被害に遭ってしまった…という方の多くは、逆さ水栓や止水栓部分の存在や役割を知らず、その部分が水抜きできなかったケースです。
水落としの手順の説明
お待たせしました。それでは、水落としの手順について、お話していきましょう。
これからの説明の内容には、ご自分の住む建物にある物とない物が説明に色々と出てくると思いますが、あるものについてだけ、説明通りに作業を行えばOKです。
ご自分のお住まいにない物が説明に出てきた場合は、基本的にはその作業を行う必要はありません。ただし、それが本当にないのか、見つけられていないだけで本当は存在しているのかは別です。まずはしっかりと探して確認しておきましょう。
ここからは、建物別に分けて説明しますが、基本的には同じです。同じ文章をコピー&ペーストもします。同じ写真も使います。
《全建物共通で、水落とし作業を行う際に必要な物》
・汚れても良いタオル(床などに垂れた水を拭く用・盛大にこぼしたときのために、いらないバスタオルがあれば尚良し)
・懐中電灯などの手持ち照明器具(暗い所を照らすことができればスマホのライトでもOKです)
・水受けのためのバケツや洗面器、それよりは大きめのポリ袋(45Lの袋があれば安心)を複数枚の方が使い勝手良し
・粘着テープ(ガムテープだと塗装や壁紙が剥がれる事があるので、養生テープなどがあれば尚良し)
・ウォータープライヤーもしくはペンチ(なければ、ゴム手袋や輪ゴムが効くこともありますが絶対ではないです)
・手が汚れるのを気にする方は、軍手やビニール手袋など
【アパート・マンションにお住まいの方の場合】
まずは一般的な集合住宅の場合、一世帯分のお部屋に対して水抜栓は1つだけだと思います。
一戸建てを増改築したアパートとかテラスハウスの様な建物など、造りが戸建住宅寄りな建物の場合は水抜栓が複数ある事もあります。
まずは水抜栓の場所を確認する所から始めましょう。
室内にある場合と、室内にない場合とがあります。
自分の部屋の下の階がどうなっているかによっても変わります。
水抜栓の見た目は、ハンドルをクルクル回転させるタイプ、レバーを横方向に回転させるタイプ、レバーを縦方向に上げ下げするタイプ、回すための取っ手が普段は収納されていて真っ平なタイプ、など種類は色々とありますが、通水とか水抜とか出るとか止まるとかの記載があれば水抜栓です。土の中から立ち上がって建物の中に入って来ていますので、壁や天井ではなく、床面にあります。
寝室のような居室空間にはなく、水まわりの近くにあると思って探してください。
室内にある場合は、ボイラー・温水器などの給湯設備の近く、もしくはキッチンの近く、もしくはトイレスペースにあると思います。
過去に、電気温水器本体の前面のカバーを剥がしたら内部に隠れていたというケースや、キッチンの収納の扉の裏や、玄関近くの収納の中に隠されていたケースもありましたが、そういったのは稀なケースですが、あるにはあります。
基本的には、いつでも操作できるように設置されるべき物ですので、隠さずに表に出ています。改築リフォームなどがされている場合は、ヘンテコな場所に隠れてしまっている事もあります…
建物の1階部分が全面駐車スペースになっている建物だったり、地下空間があるような建物の場合は、部屋の真下に水抜栓を設置できないことがあり、部屋から離れた場所に水抜栓が設置されていることもあります。その場合は、室内の床面に水抜栓本体はなく、床面に操作ハンドルだけがあったり、壁にリモコンが設置されていたりします。
室内に水抜栓もハンドルも、リモコンも見当たらない場合は、懐中電灯などを手に持って、玄関から廊下に出ましょう。
マンションのような建物では、水抜栓が室内にはないことも多く、玄関を出てすぐ横か近くの壁に扉があって、そこを開けるとパイプスペースになっているケースが多いです。
各お部屋の玄関ドアの隣に扉がそれぞれあるようであれば、ご自分の部屋から一番近い扉を開けてみて下さい。
鍵がかかっていて、勝手に開けられないようにされている建物もあります。管理会社に言って開けてもらう必要があります。
中を確認して配管があったらそこがパイプスペースです。写真のように広い空間になっている建物もありますし、人が入れないような狭い空間の場合もあります。ここを物置にされてしまうと修理などで訪問した際に非常に困るので、物を置くのはやめましょう!
しかし、パイプスペースにあるのは水道の配管だけではありません。排水の配管もあるかも知れませんし、電気やガスや灯油の配管があることもあります。色々あるパイプスペースの中から自分の部屋用の水道配管を探さなければいけません。
水道の配管には保温材が巻かれていることがほとんどで、上の写真では銀色のカバーが巻かれて、その上から金属の網を覆っていますね。保温材が巻かれている状態での直径が10~15cm位の物が水道の配管です。それより太くてあまり枝分かれしていないのは排水の配管です(上の写真では一番右に見えています)。
水道メーターが見つかればその経路が水道配管だとすぐにわかります。写真では紫色のフタがついているのが水道メーターです。発泡スチロールの箱に包まれていることもあります。
自分の部屋だけのパイプスペースの場合もあれば、いくつかの部屋の共有のパイプスペースの場合もあります。部屋番号が書かれたプレートがぶら下がっていると思いますので、それも確認して、他人の部屋の水道を勝手に止めたり水落とししたりしないように、気を付けてください。
水道メーターの上流側と下流側にそれぞれハンドルがついていたら、上流側が止水栓、下流側が水抜栓になります。止水と水抜の両方の機能が搭載されたバルブが一つだけ設置されているケースもあります。水抜栓の下には水を捨てるための排水管がある事が多く、写真では灰色の塩ビ管になっていますね。
(ぱっと見わかりづらいですが、水道メーターから見て、お住まいの部屋がある方が下流側、下の階や上の階へとつながっている縦の管がある方が上流側です。)
写真のように止水栓と水抜栓の両方が設置されている場合は、水を落とすには、先に止水栓を閉めてから、次に水抜栓を回して水抜状態にし、そこから室内の水落とし作業開始となります。
室内に水抜栓や操作リモコンがあった場合は、水抜栓やリモコンを操作をして水抜状態にしてから水落とし作業を開始します。
水抜栓の動きが固く、操作できないという場合、水抜栓の修理が必要ですので、賃貸物件の場合は管理会社さんか大家さんに、持ち物件の場合はアリー便利サービスにご相談下さい。
力ずくで動かそうとしてしまうと、水抜栓が破損してしまったり、怪我をしてしまうこともありますので、指や手の力だけで操作しようとしても動かないようであれば、工具などは試さずに無理はしないでください。破損してしまうと部品や本体を交換しなければいけなくなってしまい、部品代が高額になりやすいので、決して無理だけはしないでください。
水抜栓が1つだけだった場合でも、複数あった場合でも、自分の部屋用の水抜栓を全て閉じて(水抜状態にして)次に進みましょう。
~水落とし作業の手順~
①まずはトイレに行って、タンクのレバーを【大の方】に回した状態でキープし、便器の中に水が出て来なくなるまで待ちます。
※この時点で、いつまでたっても水が止まらずに勢いよく流れっぱなしになってしまう場合、レバーを戻して中断しましょう。水抜栓が水抜状態になっていない可能性があります。パイプスペースの止水栓を閉じているかを確認し、別の部屋の水抜栓を操作してしまったわけではないのであれば、止水栓もしくは水抜栓が故障している可能性が出てきます。そのままでは水落としはできませんので、賃貸物件であれば管理会社さんもしくは大家さんに修理をしてもらいましょう。持ち物件であれば、止水栓や水抜栓周辺の写真を撮影して、アリー便利サービスに写真と共にご相談ください。
問題なければ次に進みましょう。
②次に、台所・洗面台・お風呂の全ての水栓(洗濯機の水栓と逆さ水栓以外)を全開にするのですが、注意点があります。
レバー式やサーモスタット式の混合水栓の場合は、普段、ぬるめのお湯を出す時の位置、水とお湯の中間の位置にして開きっぱなしにしましょう。要は水とお湯の両方が出る状態にしたいわけです。
水とお湯の2つのハンドルタイプの混合水栓の場合は、2つのハンドルを両方とも全開状態にしましょう。順番はどの順番でも構いません。
初めは水やお湯が多少出るかも知れませんが、そのまま放置します。段々と細くなり、出なくなるはずです。
③続いて、キッチンのシンク下の収納の中、洗面台の収納の中を覗いて、
このように蛇口の様なものが見えたら、そこから水やお湯を抜く必要があります。水とお湯の2つあることもあれば、どちらか1つだけのこともあります。
左の写真のように水が出てきそうな吐水口がある水栓がある場合は、ハンドルを回すと吐水口から水やお湯が出ます。
右の写真は、排水口が付いた止水栓(アングル止水栓)なのですが、水を抜くためにはハンドルではなく、ギザギザがついた丸いつまみを回す必要があります。
この写真の方がわかりやすいですかね、赤い丸で囲んだ部分です。
このギザギザ部分を回して緩めると、水がターっと出てくるのですが、まだ緩めないでください。一度も動かしたことがないような場合は指の力だけでは固くて回せないことがあります。(ゴム手袋を履いて回してみると滑らずに力が入って回る時があります。)ギザギザな物をつかめるプライヤーやペンチなどの工具があればそれを使って緩めます。一度少し緩めてしまえば、あとは指だけで回せますが、しかし、ここでも注意点があります。
回し過ぎると、ポロっと取れてしまいます。元に戻そうとしても、水やお湯が勢いよく出てしまったり、熱々で触れなかったりして、なかなかすぐには戻せないことがあります。ポロっと取れないように回し過ぎに注意しましょう。水がターっと出てきたらそれ以上回さない事です。
さて、水やお湯が出てくるので、収納内を濡らさないように水を受けたいのですが、写真のように高さがあるのであれば、バケツや洗面器でも水を受けられます。
しかし、真下に動かせない別のパイプがあったり、低い位置に設置されている場合では、バケツや洗面器は入りません。
バケツや洗面器よりも、ポリ袋などを使った方が狭い場所にも入れる事が出来て、使い勝手は良いです。
大きめのポリ袋(45L位の大きさなら安心)と粘着テープを用意します。袋は破けては意味がないので丈夫そうなものを使いましょう。キッチンの水とお湯で一枚、洗面台の水とお湯で別の一枚、洗濯場でもう一枚といった具合に設置しましょう。
どれくらいの量の水が出てくるかがわからない水を袋の中に受けようとするわけですから、突然テープが外れて大惨事になってしまわないように、周りの壁に袋の口をテープで何カ所か固定して、剥がれそうにないことを確認してから、ハンドルやギザギザのつまみを回しましょう。
思っているよりも多くの水やお湯が出てくることがあります。その場を離れずに受けている容器や袋が溢れないように注意しながら見守ってください。段々と出てくる水やお湯の量は少なくなるはずですが、受けている容器や袋の3分の1~半分くらい溜まったら、水を落とすのを一度中断して、受けた水やお湯を捨てましょう。まだまだ大丈夫と攻めてしまうと、つまみを閉めるのに手間取ってしまったり、袋を壁から剥がす際にこぼしてしまったりと、やらかしてしまう可能性が高まります。
もう出ないかと思わせて、いきなり勢いが復活することもあります。
レバータイプの混合水栓の場合、ここで混合水栓のレバーを右の水の方にしたり、左のお湯の方にしたりと、左右に動かしてみて下さい。水の方にすると収納の中でも水の方がよく抜けたり、逆にお湯の方にするとお湯側がよく抜けたりすることがあります。
また、混合水栓の吐水パイプの付け根付近にもギザギザつまみがあることがありますので、それもお好きなタイミングで緩めてシンクに水を捨てて下さい。出ないこともあります。
キッチンも洗面台も、水やお湯の両方が、ポタポタくらいにまで出て来なくなったら、収納内のハンドルもしくはギザギザのつまみを一度閉じて、受けている容器や袋を一度空っぽにして、再度水受けをセットして、収納内のハンドルもしくはつまみを再び全開の状態にして放置して下さい。これにも意味があって…
この後、お風呂場、洗濯場、逆さ水栓と開けていくのですが、そちらを落としている最中に、いきなりキッチンや洗面台の方で、水やお湯が再び出てくることもあります。そのため、水受けの袋は外さずに設置したままにしておきましょう。
④キッチンと洗面台を上の状態にできたら、お風呂に向かいましょう。
お風呂の混合水栓が、壁に付いている水栓の場合では、
水栓本体の後ろにカタカナのハの字型になっている銀色の部分があると思います。
そのハの字の一番低い場所に、ギザギザのまわす部分がついているタイプがあります。
大きさは様々ですが、ギザギザのつまみがあったら、左右両方とも、そこを回して水やお湯を抜きましょう。お風呂場なので、足は濡れるかも知れませんが、そのまま垂れ流しできるので袋などで受ける必要はありません。シャワーとカランの切り替えは【カランの方】にして下さい。カランというのは、吐水パイプのことです。また、【止まる】の位置では何をやっても意味がありません。シャワーヘッドに一時止水ボタンが付いている場合は、それも開放しておいてください。
水お湯2ハンドルの混合水栓の場合では、2つのハンドル両方を既に全開にしてあると思います。ギザギザつまみを緩めると、それぞれから水やお湯が出てくると思います。出ないこともありますが、そのまま緩めたままにしておいてください。
温度調節付きのサーモスタット混合水栓の場合では、ギザギザつまみを緩めた状態で、温度調節のハンドルを冷たい水の方にしたり、40度以上の熱いお湯の方にしたりすることで抜け方が変化することがありますので、どちらも試してください。
水栓本体にも小さいギザギザつまみがあることがあるので、ある場合は緩めましょう。
壁付タイプではない混合水栓の場合は、デッキ(台)の上に乗っているタイプ、もしくは壁埋め込みタイプだと思います。どちらも水栓本体やその周り(水栓の下の方の壁面にある事も)にギザギザつまみがあれば、緩めましょう。
⑤ここまでできたら、このまま放置して、洗濯機へ向かいます。
どのような洗濯機を設置されているでしょうか…
2槽式洗濯機の場合、単純に水栓を開いて洗濯槽の中に水やお湯を出しっぱなしにすればOKです。排水も忘れずにしてください。
全自動洗濯機の場合は、まずは電源を入れて、洗濯槽の中身を空っぽにして、洗剤なども入れずに、水量を適当に設定して、洗濯をスタートします。給水ホースが接続されている水栓を全開にして、そのまま放置で洗濯機の中に水もしくはお湯もしくは両方が落ちてきます。混合水栓が設置されている場合は水もお湯も全開にして下さい。
給水ホースが上下にループされていると、きちんと抜けて来ないので、水栓から洗濯機までの間を下り坂になるようにループ部分を伸ばすか、給水ホース自体を外すかして下さい。
混合水栓ではなく、水とお湯の単水栓がそれぞれ設置されている場合、洗濯機に接続されていない方の水栓があるようならば、ポリ袋などで受けられるようにしてから、全開にして受けて下さい。
全自動洗濯機は、機種によりますが、水量が少なくて洗濯がスタートしないかも知れませんが、そのままでOKです。エラーが出て止まってしまう機種もあるかも知れません、それもそのままでOKです。あとであと片付けをします。
洗濯機の水栓が壁に付くタイプの混合水栓の場合、やはりハの字になっている部分にギザギザつまみがあるかも知れません。つまみがあるようであれば、水栓下にポリ袋をセットして水とお湯の両方を開放して何も出なくなるまで出して下さい。
さぁ、もう少しで終わりです!もうひと踏ん張りしましょう。
⑥続いて、トイレ・洗面台・給湯設備・お風呂・キッチン、全ての水回り設備の周辺の壁に、逆さ水栓が設置されているかどうかを確認しましょう。
もし逆さ水栓があれば、ここの段階でハンドルをゆっくりと開きながら、様子を見て下さい。水が出て来なければそのまま全開にして放置します。逆さ水栓が複数あれば全部開けて下さい。するとここで、これまでに解放したどこかの場所で水やお湯が出てくることがあります。出てこないこともあります。
逆さ水栓がない場合は、次に進みましょう。
⑦ここで初めて存在をご紹介しますが、ボイラーもしくは電気温水器のすぐ近く、配管の途中に【減圧弁(ゲンアツベン)】という物が設置されていることが多いです。
上の写真のような、丸い円盤が付いたような形状の物が減圧弁です。その胴体部分に水を抜くためのつまみがないかどうか探してください。
角度を変えてみると、
円盤とは逆側に突起(赤い丸で囲んだ部分)があるのが見えると思います。
この突起部分、中にバネが入っていて動くタイプの場合があります。つまみを押して動く場合はその部分が水抜き用のつまみなのですが、当然、水がピューっと出てくることがありますので、ポリ袋などで水を受ける準備を整えてから、押すようにしてください。
また、押し込んだ手を離すと、バネの力でつまみが元の位置に戻ろうとする場合もありますので、水を抜く場合は、つまみを指で押し込んだ状態をキープしなければいけないこともあります。手を放して元の位置に戻らずに水が出続けるようであれば、その場を離れずに見守りましょう。
つまみを押しこんだ後、水が出るようであれば、出て来なくなるまで待って、次に進みましょう。水が出て来なかった場合は、そのまま次に進みましょう。
⑧水やお湯がどこからも出て来なくなったら、洗濯機を後片付けしましょう。
空回ししていた洗濯機を止めるために、一時停止して、電源をオフにして、もう一度電源を入れて、脱水だけ1分間くらいかけて洗濯機の中の水を排水して、そのまま放置で完了です。
これで一旦、日々の生活の合間での水落とし作業は完了で、お疲れさまでしたー!なのですが、
このまま終わってしまうと、次に水道を開通した時に、あちこちから水が噴き出て部屋中が大変なことになってしまうので、あちこち開いた場所をしっかりと全て閉じる作業をする所までが水落とし作業だということを忘れずにいて下さい。
ですが、パイプスペースの止水栓や水抜栓だけは、例外です。触らずにそのままの状態にしておきましょう。
ここで開いてしまっては、ここまでの作業が全て水の泡になってしまいます…
順番は気にせずに、
・全開にした全ての水栓(逆さ水栓があればそれも)をきっちりと閉じましょう。
・セットしたバケツや洗面器、ポリ袋などを片付けましょう。袋はまた使いますので保管するかゴミ捨てに使いましょう。
・台所・洗面台の収納内のハンドルや様々な場所のギザギザつまみをきっちり閉めましょう。
・減圧弁の水抜き用のつまみが押し込んだままになっている場合は、つまみを引っぱって、元の位置に戻しておきましょう。
次に水を使いたい時は、(パイプスペースの止水栓と)水抜栓を開くだけで、部屋の中の全ての水栓が使えるようになります。出しはじめは空気が混じってブシュブシュドックンドックンしますので、水の飛び撥ねが激しいので注意です。
これはあくまで、日々の生活の合間での水落とし作業の内容です。
2日以上家を留守にするというような状況では、これだけでは不十分です。
不足している内容の例を羅列をするならば、お風呂のシャワーホース・シャワーヘッドの中の水、ボイラーや電気温水器の中に残っている水やお湯、トイレの温水洗浄便座の本体内部や給水ホースの中の水、キッチンや洗面台のシャワータイプの水栓のシャワーホースの中の水などです。
あまり不安を煽る行為はしたくありませんが、最悪な場合、ボイラーや電気温水器、洗浄便座の内部で管が凍結して破裂してしまうと… 本体内部で破裂してしまって本体交換をしなければいけなくなり、入居者の責任として全額負担になってしまったりと… 軽い気持ちで起きてしまう結果としては大きい代償です。
しかしこれらは、色々と工具を使ってホースなどを分解したり戻したりする必要があって、一般の方では難しいこともありますので、冬に長く家を留守にされるご予定ができた時には、アリー便利サービスにご相談頂いた方が安心です。
混雑時はご相談頂いた当日に対応できないことございますので、ご希望の日時にて前もってご予約されることをお勧めします。
集合住宅で1階に庭付きのお部屋に住まれている方もいらっしゃるかも知れませんね。もしお庭に散水栓がある場合は、その横に単独の水抜栓がある可能性もあります。
その場合は、水抜栓を閉めてから散水栓を全開にして、ホースなどは水栓から外して、10分後に散水栓だけを閉めて、次に使う時まで封印、の手順です。
集合住宅の場合は、以上です。
【戸建住宅の場合】
さて、戸建住宅にお住いの皆さんへの説明に移りますね。
屋外散水栓については、もう、簡単な説明で大丈夫でしょうか?
当たり前の事ですが、もう既に凍結してしまっている状態では水は落とせません。水が勢いよく出る状態を確認してから水落としを行いましょう。
水抜状態にして、ホースなどは外して、水栓を全開にして、次使う時まで放置です。落雪などで破損しないように養生保護だけしっかりしておきましょう。
戸建住宅の場合でも、まず初めに水抜栓が建物内のどこに、全部でいくつあるのかを把握する所からスタートしましょう!
しかし、戸建住宅と言っても、色々な建物がありますよね。
一通り書いていきますので、ご自分の住む家の状況に合わせて判断してください。
一番シンプルなのは、平屋の建物と、平屋ではないけれども水まわりが一階部分にしかない建物です。
ここで言う一階部分という表現は、道路や地面から見て一階部分ということです。
半地下スペースがあるから居住スペースは2階に当たるんだけど…という場合でも、この記事の中では、地面がある高さから数えて一階、二階と数えると統一させてください。
探すべき場所は、屋外散水栓があればそこに1つ、ボイラーや電気温水器が設置されている給湯設備周辺に1つ、トイレにも1つありますが、ない事もあります。キッチンには水抜栓がない場合と、キッチンにも1つある場合とがあります。
床面から立ち上がっている場合もあれば、壁にリモコンが設置されている場合もあります。
部屋の中にどうしても見つからないという場合は、床下収納を開けて床下を覗き込んだ位置に設置されている場合もありますので、床下もチェックしてみてください。
一階部分の下が床下スペースではなく、車庫や地下スペースになっている場合、地下スペースに水抜栓本体が設置されている場合もありますので、下に降りてそちらも探してみてください。
2世帯住宅の場合は、水抜栓の数も変わってきます。
水道料金を別々に支払っている建物では、水抜栓も世帯ごとに必要数設置されている場合が多いので、給湯設備周り・トイレ・キッチンについて、両方の世帯分探してください(両方の世帯分全て水落としする場合は)。片方の世帯分だけ落として、もう片方の世帯分は落とさない…ということも可能です。
水道料金はひとまとめで支払っている建物では、水抜栓の数も一世帯分になっていることもあれば、一緒になっているのは料金だけで、水抜栓は別々に必要数設置されている場合もありますので、どちらかわからなければ、まずは両方の世帯分を確認しておきましょう。
続いて、一階部分が店舗や事務所などになっていて、二階以上のスペースが住居になっているような戸建住宅もありますね。
こういった建物の場合は、一様にパターン化が難しいですが、住居スペースとそうでないスペースの両方に水抜栓が設置されていると仮定して、両方のくまなく探した方がいいですね。
その他、増改築などで水まわり設備が新たに増えたりしている場合は、既存の配管から枝分けしただけなのか、土の中から枝分けする工事をして新たな水抜栓が設置されているのかにもよりますので、あとから増えた場所は念入りに水抜栓がないかどうか、チェックしてください。
ここからは、全ての一戸建て建物の共通の流れになります。
では、水抜栓の場所と数が把握できましたら、いよいよ水落とし作業についての説明となります。
建物全体の水落としをするためには、建物に存在する水抜栓を全て操作して、水抜状態にする必要があります。
この時点で、水抜栓の動きが固く、操作できないという場合、残念ながら水落とし作業を行う事はできません。
力ずくで動かそうとしてしまうと、水抜栓が破損してしまったり、怪我をしてしまうこともありますので、指や手の力だけで操作しようとして動かないようであれば、工具などは試さずに無理はしないでください。破損してしまった場合、部品の交換や本体の交換が必要となってしまい、取り寄せに何日もかかったり、部品が高額になる場合があり、手痛いことになりますので、無理だけはしないようにしてください。
まずは水抜栓を修理する必要がありますので、アリー便利サービスにご相談下さい。借家の場合は大家さんに先に相談してください。
冬本番になってからでは混雑してしまってすぐにお伺いすることができない状況もあるかも知れませんし、年末年始などメーカーがお休みに入ってしまうと部品の取り寄せができないこともありますので… 水抜栓がきちんと作動できるかどうかの確認は、冬になる前に事前に毎年行っておきましょう。
工具を使わずに、指や手の力だけで難なくスムーズに回せる・上げ下げできる状態が正常な状態です。
さて、全ての水抜栓を操作して水抜状態にできましたら、いよいよ水を落としていきます。
~水落とし作業の手順~
①まずわかりやすいのはトイレでしょう。
洋式トイレでは、タンクのレバーを【大の方】に回した状態でキープし、便器の中に水が出て来なくなるまで待ちます。
トイレが複数台ある場合は、全てのトイレで同じことをしましょう。
小便器がある場合は、小便器の上の水を流すボタンやハンドルを操作して流しっ放しにしてしばらく見守り、水が出て来なくなるまで待ちます。
トイレスペースに手洗器がある場合は、レバーやハンドルを操作して全開にしたまま放置しておきましょう。
トイレや手洗器の水栓が手動ではなく、自動の定量式の場合は、センサー部分を何度も反応させて水が出て来なくなるまで行ってください。
これで、トイレ自体は完了です。
②続いて、キッチン・洗面台・お風呂場、その他の水まわり設備に設置されている、全ての水栓(洗濯機の水栓と逆さ水栓を除いて)を開けて放置していくのですが、混合水栓が設置されているご家庭も多いと思いますので、大事な注意点をお伝えしておきます。
水とお湯の両方を開くことを念頭に置いて操作していってください。
例えば、シングルレバー式の混合水栓の場合、普段は、レバーを右に回すと水、左に回すとお湯が出ると思いますが、水とお湯を両方を同時に開きたい場合、レバーの位置を水とお湯の中間ぐらいにして操作しなければ両方を開くことができません。
お風呂場に、40℃の位置でストップがかかるサーモスタット式の混合水栓が付いている場合、温度調節のバルブを35度くらいの位置にすると水とお湯両方が抜けやすいです。
ここで、温度調節のバルブが固くて回らない…という場合も、しっかり水落としできないことがありますので、水落としを行うためには、水栓の修理が必要になります。
水側とお湯側にそれぞれハンドルが付いている、2ハンドル式の混合水栓の場合は、水とお湯のハンドル両方を全開にするだけでOKです。また、混合水栓ではない単水栓が設置されている場合も、全ての単水栓のハンドルを全開にすればOKです。
一通り開くことができましたでしょうか? 順番はどの順番でも構いません。
この時点で、水抜栓が全てしっかりと機能していれば、初めは水やお湯が多少出るかも知れませんが、しばらく放置ししていると、段々と細くなり、出なくなるはずです。ポタポタ出続けていても、今はそのままにしておいてください。
いつまで経っても勢いよく水やお湯が出続けてしまう水栓がある場合は、まだ未発見の水抜栓が存在している可能性、もしくは水抜栓が故障していて水抜状態になっていない可能性とがあります。今一度水抜栓を探してみて、見つからなければ、水抜栓の修理が必要かも知れません。お早めにご相談ください。
問題なければ、次のステップに移ります。
③キッチンのシンク下の収納の中、洗面台の収納の中を覗いて、
このように蛇口の様なものが見えたら、そこから水やお湯を抜く必要があります。水とお湯の2つあることもあれば、どちらか1つだけのこともあります。
左側の写真のように水が出てきそうな吐水口がある水栓がある場合は、ハンドルを回すと吐水口から水やお湯が出ますので、まだ開かないでおきましょう。
右側の写真は、排水口が付いた止水栓(アングル止水栓)なのですが、水を抜くためにはハンドルではなく、ギザギザがついた丸いつまみを回す必要があります。
この写真の方がわかりやすいですかね、赤い丸で囲んだ部分です。
このギザギザ部分を回して緩めると、水がターっと出てくるのですが、まだ緩めないでください。一度も動かしたことがないような場合は指の力だけでは固くて回せないことがあります。(ゴム手袋を履いて回してみると滑らずに力が入って回る時があります。)ギザギザな物をつかめるプライヤーやペンチなどの工具があればそれを使って緩めます。一度少し緩めてしまえば、あとは指だけで回せますが、しかし、ここでも注意点があります。
回し過ぎると、ポロっと取れてしまいます。元に戻そうとしても、水やお湯が勢いよく出てしまったり、熱々で触れなかったりして、なかなかすぐには戻せないことがあります。ポロっと取れないように回し過ぎに注意しましょう。水がターっと出てきたらそれ以上回さない事です。
さて、水やお湯が出てくるので、収納内を濡らさないように水を受けたいのですが、写真のように高さがあるのであれば、バケツや洗面器でも水を受けられます。
しかし、真下に別のものがあったり、低い位置に設置されている場合では、バケツや洗面器は入りません。
バケツや洗面器よりも、容量が大きいポリ袋などを使った方が狭い場所にも入れる事が出来て、使い勝手は良いです。
大きめのポリ袋(45L位の大きさなら安心)と粘着テープを用意します。袋は破けては意味がないので丈夫そうなものを使いましょう。キッチンの水とお湯で一枚、洗面台の水とお湯で別の一枚、洗濯場でもう一枚といった具合に設置しましょう。
どれくらいの量の水が出てくるかがわからない水を袋の中に受けようとするわけですから、突然袋が外れて大惨事になってしまわないように、周りの壁に袋の口をテープで何カ所か固定して、剥がれそうにないことを確認してから、ハンドルやギザギザのつまみを回しましょう。
思っているよりも多くの水やお湯が出てくることがあります。その場を離れずに受けている容器や袋が溢れないように注意しながら見守ってください。段々と出てくる水やお湯の量は少なくなるはずですが、受けている容器や袋の3分の1~半分くらい溜まったら、水を落とすのを一度中断して、受けた水やお湯を捨てましょう。まだまだ大丈夫と攻めてしまうと、つまみを閉めるのに手間取ってしまったり、袋を壁から剥がす際にこぼしてしまったりと、やらかしてしまう可能性が高まります。
もう出ないかと思わせて、いきなり勢いが復活することもあります。
レバータイプの混合水栓の場合、ここで混合水栓のレバーを右の水の方にしたり、左のお湯の方にしたりと、左右に動かしてみて下さい。水の方にすると収納の中でも水の方がよく抜けたり、逆にお湯の方にするとお湯側がよく抜けたりすることがあります。
また、混合水栓の吐水パイプの付け根付近にもギザギザつまみがあることがありますので、それもお好きなタイミングで緩めてシンクに水を捨てて下さい。
キッチンも洗面台も、水やお湯の両方が、ポタポタくらいにまで出て来なくなったら、収納内のハンドルもしくはギザギザのつまみを一度閉じて、受けている容器や袋を一度空っぽにして、再度水受けをセットして、収納内のハンドルもしくはつまみを再び全開の状態にして放置して下さい。これにも意味があって…
この後、お風呂場、洗濯場、逆さ水栓と開けていくのですが、そちらを落としている最中に、いきなりキッチンや洗面台の方で、水やお湯が再び出てくることもあります。そのため、水受けの袋は外さずに設置したままにしておきましょう。
④次のお風呂場のステップに移りましょう。
お風呂の混合水栓が、壁に付いている水栓の場合では、
水栓本体の後ろにカタカナのハの字型になっている銀色の部分があると思います。
そのハの字の一番低い場所に、ギザギザのまわす部分がついているタイプがあります。
大きさは様々ですが、ギザギザのつまみがあったら、そこを回して水やお湯を抜きましょう。お風呂では足は濡れますが、そのまま垂れ流しできるので受ける必要はありません。シャワーとカランの切り替えは【カランの方】にして下さい。カランというのは、吐水パイプのことです。また、【止まる】の位置では何をやっても意味がありません。
水お湯2ハンドルの混合水栓であれば、2つのハンドル両方を全開にしてあると思います。ギザギザつまみを緩めると、それぞれから水やお湯が出てくると思います。出ないこともありますが、そのまま緩めたままにしておいてください。
温度調節付きのサーモスタット混合水栓であれば、ギザギザつまみを緩めた状態で、温度調節のハンドルを冷たい水の方にしたり、40度以上の熱いお湯の方にしたりすることで抜け方が変化することがありますので、どちらも試してください。
水栓本体にも小さいギザギザつまみがあることがあるので、ある場合は緩めましょう。
壁付タイプではない混合水栓の場合は、デッキ(台)の上に乗っているタイプ、もしくは壁埋め込みタイプだと思います。どちらも水栓本体やその周り(水栓の下の方の壁面にある事も)にギザギザつまみがあれば、緩めましょう。
⑤ここまでできたら、このまま放置して、洗濯機へ向かいます。
どのような洗濯機を設置されているのでしょうか…
2槽式洗濯機の場合、単純に水栓を開いて洗濯槽の中に水やお湯を出しっぱなしにすればOKです。排水も忘れずにしてください。
全自動洗濯機の場合は、まずは電源を入れて、洗濯槽の中身を空っぽにして、洗剤なども入れずに、水量を適当に設定して、洗濯をスタートします。給水ホースが接続されている水栓を全開にして、そのまま放置で洗濯機の中に水もしくはお湯もしくは両方が落ちてきます。混合水栓が設置されている場合は水もお湯も全開にして下さい。
給水ホースが上下にループされていると、きちんと抜けて来ないので、水栓から洗濯機までの間を下り坂になるようにループ部分を伸ばすか、給水ホース自体を外すかして下さい。
水とお湯の単水栓がそれぞれ設置されている場合、洗濯機に接続されていない方の水栓があると思います。ポリ袋などで受けられるようにしてから、全開にして受けて下さい。
全自動洗濯機は、機種によりますが、水量が少なくて洗濯がスタートしないかも知れませんが、そのままでOKです。エラーが出て止まってしまう機種もあるかも知れません、それもそのままでOKです。あとであと片付けをします。
洗濯機の水栓が壁に付くタイプの混合水栓の場合、やはりハの字になっている部分にギザギザつまみがあるかも知れません。つまみがあるようであれば、水栓下にポリ袋をセットして水とお湯の両方を開放して何も出なくなるまで出して放置して下さい。
⑥次に、トイレ・洗面台・給湯設備・お風呂・キッチン、全ての水回り設備の周辺の壁に、逆さ水栓が設置されているかを確認しましょう。
もし逆さ水栓があれば、この段階でハンドルをゆっくり開いて、水が出て来なければ、そのまま全開にしてしばらく様子を見て下さい。複数あれば全部開けて下さい。すると、これまでに解放したどこかの水栓から水やお湯が出てくると思います。出てこないこともあります。
逆さ水栓がない場合は、次に進みましょう。
ここまでの記述に該当しなかった水まわり設備が存在している建物では、適宜水栓を全開にして、ギザギザつまみを探して、緩めて水を落とすの流れを行ってください。
⑦ここで初めて存在をご紹介しますが、ボイラーもしくは電気温水器のすぐ近く、配管の途中に【減圧弁(ゲンアツベン)】という物が設置されていることが多いです。
上の写真のような、丸い円盤が付いたような形状の物が減圧弁です。その胴体部分に水を抜くためのつまみがないかどうか探してください。
角度を変えてみると、
円盤とは逆側に突起(赤い丸で囲んだ部分)があるのが見えると思います。
この突起部分、中にバネが入っていて動くタイプの場合があります。つまみを押して動く場合はその部分が水抜き用のつまみなのですが、当然、水がピューっと出てくることがありますので、ポリ袋などで水を受ける準備を整えてから、押すようにしてください。(押しても動かない場合は、水を抜く用のつまみではありませんので気にせずに⑧に進みましょう。)
また、押し込んだ手を離すと、バネの力でつまみが元の位置に戻ろうとする場合もありますので、水を抜く場合は、つまみを指で押し込んだ状態をキープしなければいけないこともあります。手を放して元の位置に戻らずに水が出続けるようであれば、その場を離れずに見守りましょう。
つまみを押しこんだ後、水が出るようであれば、出て来なくなるまで待って、次に進みましょう。水が出て来なかった場合は、そのまま次に進みましょう。
⑧どの水まわり設備からも水やお湯が出て来なくなったら、洗濯機の後片付けをしましょう。
空回ししていた洗濯機を一時停止し、電源をオフにし、再度電源を入れて、脱水だけ1分間くらいかけて洗濯機の中の水を排水して、そのまま自動で終了されます。
ここまでで、とりあえず水落としの作業は完了、お疲れさまでしたー! なのですが…
このまま終わってしまうと、次に水道を開通した時に、あちこちから水が噴き出て部屋中が大変なことになってしまうので、あちこち開いた場所をしっかりと閉じる作業をする所までが水落とし作業だと覚えて下さい。
ですが、次に水を使う時まで水抜栓だけは、触らずにそのままの状態にしておきましょう。
ここで開いてしまっては、ここまでの作業が全て水の泡になってしまいます…
順番は気にせずに、
・全開にした全ての水栓(逆さ水栓があればそれも)を閉じましょう。
・セットしたバケツや洗面器、ポリ袋などを片付けましょう。袋はまた使いますので保管するかゴミ捨てに使いましょう。
・台所・洗面台の収納内の水栓のハンドルや、様々な場所のギザギザつまみをきっちり閉めましょう。
・減圧弁の水抜き用のつまみが押し込んだままになっている場合は、つまみを引っぱって、元の位置に戻しておきましょう。
これで水落とし作業は本当に完了です。お疲れさまでした。
次に水を使いたい時は、各所の水抜栓を開くだけで、水とお湯が通って、使えるようになります。初めは空気が混じってブシュブシュドックンドックンしますので、飛び撥ねに注意です。しばらく出し続けると納まります。
そして、今回の手順はあくまで、日々の生活の合間での水落とし作業の内容です。
2日以上家を留守にするというような状況では、これだけでは不十分です。
不足している内容の一例を羅列をするならば、お風呂のシャワーホース・シャワーヘッドの中の水、ボイラーや電気温水器の中に残っているお湯、トイレの温水洗浄便座の本体内部や給水ホースの中の水、キッチンや洗面台のシャワータイプの水栓のシャワーホースの中の水、浄水器があれば本体やホースの中の水などです。
あまり不安を煽るような行為はしたくありませんが、最悪な場合、ボイラーや電気温水器、浄水器、洗浄便座の内部で残っていた水が凍結して、ついには破裂してしまうと… 本体内部で破裂してしまって、本体交換をしなければいけなくなり、大きな出費、しばらく使えない面倒というリスク大です。
しかしこれらは、色々と工具を使って分解したり、パッキンを入れ替えて戻したりする必要があるので、きちんと知識を持った人でなければ、しっかりと落とせなかったり、元に戻せなかったり、漏水や不具合の原因になったりしてしまいます。
冬に長く家を留守にされるご予定ができた時には、アリー便利サービスにご相談頂いた方が安心です。
特に冬はご予約が混雑しますので、当日にご相談頂いても対応できない状況もございますので、前もってご連絡頂きまして、ご希望の日時にて予約を確保されることをお勧めします。
最後に
いやぁぁぁぁ、長かったですねぇぇぇ。
少し書いては、後日読み返して添削して、色付けて、写真を用意して…の繰り返しでした。
第一弾の記事が5000文字くらいなのに対して、今回の記事は約35000文字越えで… 6倍…
気付いていない誤字脱字もあるかも知れません。
前回の終わり際に、完成まで何日かかるか…と書いていましたが、何日どころか、何か月かかっているのだと…
申し訳もひらきもございません。
最後まで読んでくださった方、内容を理解しようとしてくださった方は、果たして何人いらっしゃるのでしょうか…
結局大した内容じゃなかったじゃないかーというような方もいらっしゃると思いますし、何が何だかわからなかったという方もいらっしゃるかも知れませんし、色々な方がいらっしゃると思います。
しかし、この記事をクリックして開いて下さった方も、ここまで読んで頂いている方も、【水落とし】について興味がある方だということが、間違いなく言えます。
よくわからない点があったとしても、今回持った興味が薄れてしまう前に、一度、私の書いた内容を踏まえつつ、ご自身のお住まいを観察して、できる範囲で水落とし作業を実践してみて頂いて、それでもわからないことがあったら、その旨をご相談頂ければと思います。
色々な建物や状況に合わせた内容の多い今回の記事のような物ではなく、あなたのお家のためだけの水落としマニュアルをご希望でしたらお作りしますし、実際にあなたのお家で行う水落とし作業の実演やレクチャーもご希望があればいたします。有料にはなりますけれどもね。私の行う作業の実演をその場で動画に撮っていつでも見返せるようにする方もいらっしゃいました。
また、この記事を読んで自分で水落としできたよー!というお声を、もし、頂けるのであれば、涙ちょちょ切れると思います。メールでもラインでも電話でも、お手紙でも、是非。
そして、江別市・札幌市以外のエリアにお住いの方の目に留まることもあるでしょう、北海道以外の寒冷地にお住いの方の目に留まることもあるでしょう、この記事を書いて公表してた今から、何年も先に読んで下さる未来の方もいらっしゃるかと思います。
この記事の内容が、多くの方に伝わって、水道凍結の被害から解放される人が少しでも増えて、何年先になるかわかりませんが、水道凍結被害がゼロになればいいなぁ…と私は思います。
長い内容にお付き合い頂きまして、ありがとうございました。
以上でこのシリーズ、完結ですっ。
アリー便利サービスにも興味を持って頂けたら嬉しいです。いつものリンクを貼っておきます。
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